二項検定の結果の書き方

2020年5月15日

二項検定は、2つのカテゴリに分類されたデータの比率が有意に偏っているかどうかを調べるためのノンパラメトリックな検定方法です.ちなみに管理者は二項検定で対応がない場合、すなわち被験者間計画でしか利用したことが無いので、対応がある場合(被験者内計画)でも利用できるのかどうかについては別途調べる予定です。また二項検定における効果サイズは何を使うべきかをまだ調べられていないので、それについても分かった時点で追記します。

二項検定を使う条件の例

二項検定は比較的シンプルな実験計画が対象になります.例えば:

  • 二つの候補の中から、より良いと思う候補を選んでもらう
  • ある問題を出して、正解か不正解で結果を分類
  • 二つのアルゴリズムで複数回精度を競い合い、どちらが高かったか(勝ったか)を計測

といった事例が考えられます。ただ、これらの例を見てわかる通り、多くの例はより異なった評価指標を用いることで分散分析などの手法を用いてその差を検証することが可能です。たとえば一つ目の場合であれば、二つの候補に対する「良いと思う度合い」をアンケートなどを用いて評点付けを行い、その平均値を比較する方が妥当でしょう。二つ目の場合も、問題が複数存在するなら平均正解率で比較が可能ですし、三つ目の場合は勝ち負けではなく精度の平均値で比較できます。すなわち、二項検定で無ければ検定が難しい場合を除いて、より多く利用されている評価尺度や検定方法を適応できないかを、二項検定を適応する前に考慮した方が良いでしょう。実際多くの論文で分散分析などが利用されており、二項検定のみで評価を行う事例はさほど見かけないです。メインの結果ではなく、考察などで行う付加的・追加的な分析で統計的な説明を付け加えるために利用する、ぐらいの位置づけになっている印象です。

二項検定についての文例

以下に、二項検定についての文例をいくつか示していきます。ここでは、上記の例にある一つ目、すなわち各被験者にA/Bどちらの条件を好むかを選んでもらった場合を想定します。文中では、表を用いて結果を例示した後、二項検定を行った結果を記述しています。すなわちカイ二乗検定で行っていた2×2の条件ではなく、1×2の条件ですね。

有意差がある場合

被験者が好んだ条件を表Xに示す.二項検定を行った結果,条件間に有意な差が得られた(A>B, p=0.021).すなわち、A条件の方がB条件よりも有意に好まれることが示された.

有意差がない場合

被験者が好んだ条件を表Xに示す.二項検定を行った結果,条件間に有意な差は得られなかった(p=0.441).