SPSSで2要因ANOVA(被験者間・内、混合計画)を行う方法と、結果の見方と書き方
サンプルデータ
SPSSで2要因ANOVA(被験者間・内、混合計画)を行うための手順について示していきます。対象となるSPSSはバージョン27です。2つの要因のうち、1つを被験者間、もう1つを被験者内に割り当てて実験を行い、各実験後に何らかの評価(アンケートやテストなど)を取得して比較する場合、混合計画での2要因ANOVAを利用できます。例えば、被験者間の要因1を3条件、被験者内の要因2を2条件とした場合(つまり被験者を3つのグループに分け、各被験者は2回違う条件の実験に参加した場合)に、以下のようなデータを取得した場合を想定します:
Condition Value1 Value2
A 101.00 153.00
A 101.00 153.00
A 92.00 150.00
A 93.00 151.00
A 92.00 135.00
A 102.00 145.00
A 106.00 148.00
A 104.00 152.00
A 91.00 148.00
A 103.00 144.00
A 99.00 147.00
A 106.00 144.00
A 98.00 146.00
A 100.00 146.00
A 97.00 156.00
A 90.00 149.00
A 99.00 145.00
A 103.00 144.00
A 100.00 154.00
A 100.00 135.00
B 48.00 108.00
B 54.00 102.00
B 47.00 96.00
B 55.00 98.00
B 58.00 99.00
B 44.00 95.00
B 44.00 102.00
B 52.00 98.00
B 53.00 101.00
B 50.00 108.00
B 48.00 113.00
B 47.00 93.00
B 54.00 100.00
B 45.00 96.00
B 42.00 103.00
B 50.00 102.00
B 49.00 101.00
B 44.00 100.00
B 41.00 95.00
B 51.00 92.00
C 24.00 49.00
C 15.00 49.00
C 22.00 55.00
C 27.00 46.00
C 20.00 61.00
C 19.00 45.00
C 16.00 52.00
C 16.00 48.00
C 19.00 47.00
C 18.00 56.00
C 21.00 43.00
C 17.00 45.00
C 16.00 54.00
C 22.00 49.00
C 18.00 51.00
C 20.00 42.00
C 23.00 58.00
C 27.00 44.00
C 18.00 55.00
C 22.00 52.00
分析方法の選び方
SPSSから分析を行うには、メニューから分析方法を選んでいく場合と、シンタックスと呼ばれるコマンドを記入して行う場合のどちらかを選べます。メニューから対応のある検定を行う場合、「分析」→「一般線形モデル」→「反復測定」を選んでください。
「被験者内因子名」にValue1、「水準数」に2をセットして追加し、「定義」ボタンを押します。
次に表示されるウィンドウでValue1/Value2を選択し、被験者内変数のボックスにつながる矢印ボタンをクリックします。その後、Conditionを選択し、被験者間因子のボックスにつながる矢印ボタンをクリックします。
次に、被験者間要因での多重比較を行うための設定を行います。「その後の検定」ボタンをクリックし、その後の検定部分にConditionを設定します。また、Bonferroniのチェックボックスをチェックしておきます。
次に、効果を検証する要因を選択します。「EM平均」のボタンを押して表示されたウィンドウで、(OVERALL)と各要因を選択、中央の矢印をクリックしてください。その後、「主効果の比較」のチェックボックスを選択、「信頼区間の調整」はBonferroniを選択して、続行ボタンをクリックしてください。
次に「オプション」ボタンをクリックし、記述統計・効果サイズ・観察検定力・等分散性にチェックを入れます。
なお、下の方にある「貼り付け」ボタンをクリックすると、「1要因ANOVA(被験者内)」を実行するためのシンタックスが別ウィンドウに貼り付けられます。
注意点として、デフォルトの内容では交互作用の結果が表示されません。そこで、11行目を/EMMEANS=TABLES(Condition*Value) COMPARE(Value) ADJ(BONFERRONI) と変更し、12行目に/EMMEANS=TABLES(Value*Condition) COMPARE(Condition) ADJ(BONFERRONI)と追加します。これらのコマンドを追加することで、後述する「4.C1*C2」および「5.C2*C1」の記載が行われます。
結果の見方と書き方
結果を見るには、「被験者内効果の検定」と「被験者間効果の検定」の両方を確認します。まず、「被験者内効果の検定」です。有意確率が0.05より小さければ、いわゆる有意差があることを示しています。また、その右にある「偏イータ2乗」は、分散分析における効果サイズを意味しています。今回は混合要因のため、この部分には被験者内要因のValueと、交互作用の結果のみ記載されています。
次は「被験者間効果の検定」です。有意確率が0.05より小さければ、いわゆる有意差があることを示しています。また、その右にある「偏イータ2乗」は、分散分析における効果サイズを意味しています。今回は混合要因のため、この部分には被験者間要因のConditionに関する結果のみ記載されています。
今回は条件が2つですが、交互作用も考慮する必要があります。結果を見ると、Value、Condition、Condition*Valueの交互作用全てに有意差があることがわかります。交互作用に有意差があった場合、個別要因の下位検定(要因1における3条件の差異など)は特に記述する必要はありません。その代わり、どのような交互作用が起きているかを報告する必要があります。下の方にある、「4.Condition*Value」と「5.Value*Condition」の「ペアごとの比較」を見てみます。
まずは「4.Condition*Value」を見ると、全ての組み合わせで有意差があります。なおこの部分の分析では、効果サイズは示さなくても大丈夫です。表の見方ですが、オレンジ色の四角で囲んでいる部分が「Condition要因がAのとき、Value要因の1が2と比べて有意差がある」ことを示しています。その四角の下の部分は、Condition要因がBのときの比較、Condition要因がCのときの比較、と続きます。
次の「5.Value*Condition」でも、全ての組み合わせで有意差があります。先ほどと要因の見方が入れ替わっています。オレンジ色の四角で囲んでいる部分が「Value要因1が1のとき、Condition要因のAがB/Cと比べて有意差がある」ことを示しています。その四角の下の部分は、Value要因が1のときにおけるCondition要因のBとA/Cの比較、Value要因が1のときにおけるCondition要因のCとA/Bの比較、Value要因が2のときにおけるCondition要因のAとB/Cの比較…と続きます。
最後に、検定結果の記載例を示します。
実験で取得した、各条件における刺激提示の後に得られたテスト結果に対して、混合計画での2要因分散分析を行った。その結果、Condition要因(F(2,57)=3312.161, p<0.001, partial η2=0.991)、Value要因(F(1,57)=2291.346, p<0.001, partial η2=0.976)、および交互作用に有意な差が得られた(F(2,57)=54.217, p<0.001, partial η2=0.655)。以下に、交互作用に関する分析結果を示す。
Condition要因がAの場合に、Value要因において有意差が得られた(1<2, p<0.001)。Condition要因がBの場合に、Value要因において有意差が得られた(1<2, p<0.001)。Condition要因がCの場合に、Value要因において有意差が得られた(1<2, p<0.001)。
Value要因が1の場合に、Condition要因において有意差が得られた(C<B, p<0.001, C<A, p<0.001, B<A, p<0.001)。Value要因が2の場合に、Condition要因において有意差が得られた(C<B, p<0.001, C<A, p<0.001, B<A, p<0.001)。
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