t検定の結果の書き方

対応のある場合(被験者内)

t検定を行うためのツールの使い方についてはANOVAと同様に多くの紹介記事がありますので、ここでは論文に結果を書く際にどのようにすればよいかの文例をいくつか示していきます。t検定における要因数は一つですが、対応のある(一人の被験者が二つの条件に参加する場合)と、対応のない(一人の被験者が一つの条件に参加する場合)で手法や書き方が変化します。ANOVAにおける被験者内・被験者間計画と同様ですね。利用する条件としては、例えば:

  • 被験者に対して二つの条件で実験を行い、それぞれの実験で行ったアンケート結果の差を見たい時
  • あるデータセットに対して二つのアルゴリズムで精度を検証し、その間に統計的な差が有るかを知りたいとき
  • 被験者に対して二種類のテストを出して、その正答率を比較したいとき

といった事例が考えられます。対応のある=被験者内であること、およびt検定は二条件間の比較を行う手法ですから、必然的に同じ被験者や同じデータセットに対して二つの異なる条件を用いて比較する場合、に利用されます。最近の機械学習系の研究では複数の手法を比較するので対応のあるt検定はあまり使われていませんが、以前は既存手法対提案手法の二条件で比較するものに良く使われていたように思います。なおt検定に限りませんが、順番による影響が考慮されるような条件の場合,各被験者に提示する条件の順番を入れ替えて順序効果を打ち消すようなカウンターバランスを考慮する必要があります。アルゴリズムの性能を検証する場合は問題ありませんが、被験者を扱う実験では確実に順序効果が発生するので気を付けましょう。

t検定についての文例

各被験者にA/B二つの条件で実験を行い、各条件の施行後に取ったアンケート結果に差が有るかどうかを調べるために対応のあるt検定を行った状況を想定します。いつもの通り、自由度やt値については仮の値なので、適宜数字を入れ替えてください。

有意差がある場合

アンケート結果に対して対応のあるt検定を行った結果,条件間に有意な差が得られた(t(10)=X.XXX, p=0.021, r=0.0XX). すなわち提案手法を用いることで,アンケート結果が既存手法よりも有意に増加することが示された.

有意傾向がある場合

アンケート結果に対して対応のあるt検定を行った結果,条件間に有意傾向が得られた(t(10)=X.XXX, p=0.085, r=0.0XX).

(注):有意傾向は扱いが微妙な所があるので、有意差なしとして記述した方が良い場合も多いです。

有意差がない場合

アンケート結果に対して対応のあるt検定を行った結果,条件間に有意な差は得られなかった(t(10)=X.XXX, p=0.344, r=0.0XX).

(注):有意差が無いことは、差が無いことを意味しません。

対応のない場合(被験者間)

対応のないt検定は、論文の書き方という点ではほとんど変わりがありません。上記の例で「対応のあるt検定」を「対応のないt検定」に変えるだけです.すなわち、「アンケート結果に対して対応のないt検定を行った結果,条件間に有意な差は得られなかった…」となるだけです。もちろん計算方法自体は違うので、ツールなどを用いて計算する際には必ず対応のある・ないに考慮して手法を選んでください。